2023年秋~冬にかけて、プール熱(咽頭結膜熱)が全国で大流行中です。プール熱はこどもが良くかかる病気の一つで、アデノウイルスが原因の感染症です。感染力が強いため大人も感染します。症状や感染経路、治し方、感染防止策などについて調べました。
プール熱とは?どんな病気?
プール熱は別名咽頭結膜熱と呼ばれ、アデノウイルスが原因の感染症です。
夏に最も流行る病気ですが、今年は秋~冬にかけて大流行しています。
プール熱は年間通して流行する場合もあるため、注意が必要です。
感染してから発症するまでの「潜伏期間」は5~7日ほどで、
初期症状は、39度前後の発熱が3~7日ほど続き、
体のだるさ、頭痛、食欲不振などを訴えます。
またのどの痛み(咽頭炎)や目の充血、かゆみ、痛み、涙がよく出る、まぶしがる(結膜炎)
などを訴えるようになります。
感染経路は?
プール熱の原因アデノウイルスは、咳やくしゃみなどの飛沫や目やに、
手指での接触を通して感染します。
手指で触れることはもちろん、家庭内でのタオルの共用などでうつることもあるため、
子どもから大人へ感染するケースが増えています。
また夏のプールで、塩素消毒が不十分な場合感染することがあるとされています。
感染防止には何をしたらいいの?
まず、うがいや手洗いが基本の感染防止策が大切です。
プール熱は目やにからも感染するので、タオルの共用を避けるのはもちろん、
目やにや涙をふき取る際はハンカチやタオルではなく、
ティッシュを使い捨てにした方が良いでしょう。
プール熱の患者が家庭にいる場合、普通に洗濯してもウイルスが付着したままのことがあるため、
タオルや衣類などは分けて洗濯する方がよさそうです。
プール熱にかかった初期は、感染力が強い状態なので、感染した人はお風呂は最後に入るなど、
感染防止のため、家庭内の入浴の順番も気を配ると良いでしょう。
また赤ちゃんが感染した場合、便にもウイルスが含まれているため、
おむつ交換の際は、手指の洗浄と消毒は念入りにすることをおすすめします。
プール熱の治し方
プール熱はアデノウイルスによる感染症ですので、これといった治療薬はなく、
かかった場合は対処療法になります。
症状は1~2週間ほどで収まることが多いようです。
のどの痛みにはうがい薬や鎮痛剤、
目やにや目の充血には抗生剤やステロイド系の目薬、
目のかゆみには、抗ヒスタミン点眼薬が処方される場合があります。
のどの痛みがあるため、刺激のある飲食物(辛い物、酸っぱい物)や
飲み込みにくい熱いものは避けましょう。
のど越しの良い豆腐やゼリー、おかゆ、牛乳などがおすすめです。
子どもの場合「出席停止」
プール熱に子どもがかかった場合、熱やのどの痛み、結膜炎の症状などが消えたのち
2日間は学校や保育園、幼稚園は出席停止になることが定められています。(学校保健安全法)
症状が消えてから2日間の出席停止ですから、発症している期間も含め、
お子さんの場合は少なくても、「1週間は欠席する」と見た方が良いでしょう。
プール熱は大人もうつるの?
プール熱のアデノウイルスは感染力が強く、子どもがかかった後、
大人にうつることがあります。
症状は、38~39度ほどの熱が4~5日続きます。
のどの痛みと目の充血、めやにの他、頭痛や食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、
中耳炎を起こすこともあるようです。
大人がプール熱にかかった場合、出勤停止になるという法律はありません。
(ただし会社によっては、規定があることもあるかもしれませんが・・・)
症状が比較的軽くても、感染力のあるウイルスのため完治しないまま無理に出勤すると、
感染を職場に広げてしまうことも考えられるため、出勤は控えた方が良いでしょう。
アデノウイルスの手指消毒におすすめなのは?
プール熱の原因・アデノウイルスはアルコール消毒や熱に対する抵抗力が強い性質があります。
熱消毒する場合は、85度以上のお湯に1分間洗濯物などをつける方法があります。
また次亜塩素酸ナトリウムを含む「塩素系漂白剤」を0.1%に希釈した液で、
消毒するのも効果的とされています。
ちなみにキッチンハイターとワイドハイターは名前が似ていますが、
似て非なるものです。
キッチンハイターは次亜塩素酸ナトリウムを含む「塩素系漂白剤」ですが、
ワイドハイターは次亜塩素酸ナトリウムを含まない「酸素系漂白剤」です。
購入する際はご注意くださいね。
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プール熱から「アデノウイルス感染症」へ名称変更の可能性⁉
日本水泳連盟など水泳の3つの団体が、プール熱に代わる呼び方として「アデノウイルス感染症」や、
「アデノウイルス熱(アデノ熱」)などをの名称を厚生労働省へ提案、
要望書を提出していることがわかりました。
プール熱は、プールでの接触やタオルの共用なども感染経路の一つとされていますが、
「プールが原因でかかる感染症」という誤解を持たれてしまうのかもしれませんね。
プール熱の感染源は生活の至る場所にあるため、プールだけが原因ではありません。
近いうちにプール熱から、「アデノウイルス感染症」へ呼び方が変わるかもしれません。