登録販売者はドラッグストアや薬局などで、薬剤師に代わって一般医薬品の一部を
販売できる資格です。
国家資格ではなく、各都道府県が資格試験を実施し都道府県知事から資格が与えられる
「公的資格」で、今の時代ニーズの高い専門職です。
私は独学で55歳の時に受験し、一発で合格しました。
登録販売者の資格を持つメリット
登録販売者は以前、「薬種商」という名称で呼ばれていましたが、
2009年に薬事法が改正され「登録販売者」と名称変更しました。
資格試験受験に際しては、特に受験資格はありません。
年齢や学歴、性別は全く不問です。
そのため登録販売者の資格試験に挑戦する方は年々増え、
2022年には登録販売者試験合格者は30万人にも上る、人気資格となっています。
結婚や出産など、ライフステージに変化が多い女性にはおすすめの資格です。
有資格者は即戦力として働けることから、就職や転職には大変有利になると思われます。
登録販売者の職場は一般医薬品を扱うお店、例えばドラッグストアやスーパー、
コンビニなどが多いのですが、これから一般医薬品販売に参入する業種は増えて
いくと考えられています。
その理由の一つが、政府が推進する「セルフメディケーション」の考え方です。
セルフメディケーションとは一人一人が自分自身の健康を管理し、体調が良くないけれど
病院へ行くほどではないという時は、一般医薬品などを利用してセルフケアするという意味です。
セルフメディケーションの考え方は徐々に浸透していくと、登録販売者のニーズはより
高まっていくことでしょう。
また国家資格である薬剤師よりも登録販売者を多用することで、企業としては
人件費を抑えることができることから、登録販売者の雇用は広がっていくでしょう。
一部で「登録販売者の資格がなくなるのでは?」という噂があるようですが、
これはあまり根拠がなく、むしろ一般医薬品販売の現状を考えると、
登録販売者の将来性は明るいのではないかと思われます。
市販薬の9割は登録販売者でも販売可能
一般の医薬品=市販薬の9割は、薬剤師でなくても登録販売者が販売できる
ことをご存じでしょうか?
市販薬は第1類、第2類、第3類に分かれていて、
薬剤師でないと販売できないのは「第1類」の医薬品です。
一方市販薬の9割は第2類と第3類に分類されており、薬剤師に代わって登録販売者が
販売することができます。
一般消費者が病院に行くほどではないけれど、市販薬でセルフケアしたいと思った時、
まず足を運ぶのがドラッグストアなどです。
例えば風邪薬と一口に言っても、いろいろな種類があり、
どれを選んだらいいかよくわからない、といった経験はありませんか?
そんなとき登録販売者は、一般消費者が薬を選ぶ際の窓口となるわけです。
薬の成分や副作用についての専門的な知識を持つ登録販売者の仕事は、
お客様のニーズに合わせて薬選びのお手伝いするとともに、各薬についての
説明やアドバイスを的確に行う、重要なものです。
まさに、一般消費者の健康と安全を守る役割を担っているという側面があります。
登録販売者の資格試験について
登録販売者の資格試験は、前述の通り年齢や学歴などは不問です。
また実務経験がなくても受験が可能です。
登録販売者の資格試験は各都道府県の「薬事課」などが年1回実施し、
受験会場や受験日(だいたい8月~12月の間)は各都道府県により異なります。
新潟県の場合、昨年(2023年)は長岡市のハイブ長岡で、
一昨年(2022年)は新潟県庁が受験会場となり、毎年8月下旬に試験が実施されています。
お住まいの都道府県で試験に合格すると、登録販売者として登録を行います。
引越しなどで他の都道府県へ移っても、そのたびに試験を受ける必要はなく、
登録をし直すことで仕事ができます。
ちなみに一度試験に合格すると、資格は失効することはありません。
選択式の試験方式で7割以上で合格
登録販売者の試験は、マークシートなどの選択式で記述問題はありません。
全問120点満点で、合格点は7割の84点以上です。
試験は第1章から第5章まで分かれており、
各20問ずつ出題されます。
なお全体で7割以上得点すればよいということではなく、
第1章から第5章までの各章ごとに正解率が40%以上でなければなりません。
1章でも40%を切ると、他の章で合格点を取っていても不合格になってしまいます。
ちなみに試験時間が非常に長く、午前120分午後120分の計4時間にわたる試験です。
47都道府県を10ブロックに分けて試験を実施
登録販売者の試験は、全国47都道府県を10のブロックに分け、ブロックごとに行います。
新潟県は「北関東・甲信越」ブロックに属し、
同ブロック内の県は同じ日に同じ試験問題を受けることになります。
【北関東・甲信越ブロック】
茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県
*同じブロック内では、試験を重複して受けることができません。
試験は第1章から始めるのではなく、
午前:第4章⇒第1章⇒第2章
午後:第3章⇒第5章
など、ブロックごとに進行の順番が異なっています。
合格率は40%くらい
ブロックごとに作問しているため、出題傾向や難易度の違いは若干ありますが、
極端な差はなく、合格率は全国でほぼ40~50%くらいで推移しています。
登録販売者の資格試験の問題は難しいの?
合格率が40~50%くらいだと、問題は難しくないと思われるかもしれませんが、
当然勉強しないと解けないように作られています。
新潟県の試験は4つの選択肢のマークシート方式なので、
どれかあてずっぽうでマークすれば正解するかもしれませんが、
それだけで受かるとは思えません。
覚えることはしっかり覚えて、勉強して臨めば独学でも合格は無理ではありません。
独学が不安な方や一発合格したいという方は、スクールに通うのもおすすめです。
実際私が受験したときは、同じスクールの生徒さんらしき人が10人くらいグループで
受験に来ており、最後の激励会?のような雰囲気で、「ではがんばってね!」
と先生に激励されていたのを見ました。
受験者は20代~30代の若い方が多いように感じました。
どんな問題が出るの?
第1章は、医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
第2章は、人体の働きと医薬品(20問)
第3章は、主な医薬品とその作用(20問)
第4章は、薬事に関する法規と制度(20問)
第5章は、医薬品の適正使用と安全対策(20問)
出題範囲は、医薬品に関する知識から人体の構造、医薬品の正しい使い方や法令まで、
多岐に渡ります。
私は最初、医薬品に含まれる成分の名前が全く覚えられず苦労しました。
聞いたことのない名前がどんどん出てきます。
プソイドエフェドリン塩酸塩
クロルフェニラミンマレイン酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
などなど、舌を噛みそうな?カタカナ名の成分や、一見読み方のわかりにくい
漢字の漢方の名称まで、覚えることがたくさんあります。
また人体の仕組みなどはあまり知識がなかったので、これも最初は面食らいました。
でも試験当日までにはほぼ理解し、覚えるものは覚えられたのです。
登録販売者の試験勉強方法は「過去問」
昨年(2023年)の新潟県の登録販売者試験は8月29日で、
私が試験勉強を始めたのは何と、6月1日からでした。
賞味3か月なかったのです・・・
どうやって3か月弱で合格したかというと、「過去問」のみを勉強しました。
登録販売者の試験勉強の範囲は大変広く、薬の成分の名前などは覚えようとすれば、
どこまでも範囲に入ってしまうほど豊富にあります。
そこで時間がなかったため、過去問に絞って勉強をしました。
過去問には一般常識的な問題も混じっているため、全部できないというわけではありませんが、
医薬品などに関しては全くの知識なしですので、解けない問題の方が圧倒的に多い状態です。
そこでまず、過去問の問題文と同時に解答と解説を読んで覚えることにしました。
これを何周も繰り返すのです。
すぐには覚えられないところや何度も間違うところなどには、付箋を色分けして貼ります。
過去問は最初から解かない
私自身、登録販売者試験問題の知識がまるでなかったので、過去問は最初から解けませんでした。
当然ですよね。知識ゼロなんですから。
でも試験の直前までできるようになっていればいいのです。
試験勉強の最高の教材は「過去問」といわれています。
過去問にはその試験のエッセンスがぎっしり詰まっています。
これを利用しない手はありません。
ちなみに「模擬試験問題集」や「予想問題集」ではなく、
あくまで「過去問」を使います。
ノートに書く勉強はダメ
よく試験勉強などでまとめノートを作る人がいますが、
書く勉強はおすすめしません。
書くという作業は大変時間を取られます。
ノートにきれいに書いてまとめたあと、その勉強はすべて覚えられたでしょうか?
恐らく、ノートに書いただけでは覚えきれないと思います。
また手で書き殴って覚えるというやり方もありますが、
これも同じく書く作業ですので、時間がかかってしまいます。
よって、私はほとんど書く勉強はしていません。
過去問をとにかく何度も読むことを繰り返すのです。
脳には何度も同じことが繰り返し出てくると「これは大切なことだから覚えないと」と勘違い?して、
記憶しようとする性質があるそうです。
覚えられない時は声に出して読む
前述のように薬の成分のカタカナ名などは、なじみがないとすぐには覚えられません。
しかし書いて覚えようとすると時間がもったいないです。
覚えられない時は、声に出して読んで覚えるようにします。
覚えられない部分を読んだ自分の声を録音して、スマホで聞く方法もおすすめです。
書く時間があったら、過去問をひたすらめくって読んだ方が効率が良いです。
私のおすすめの過去問集
私は2023年度版を使用しました。
なぜこの過去問集を利用したかというと、イラストがかわいくて読みやすかったからです。(笑)
ただでさえ取っつきにくい医薬品や医療に関する勉強ですから、
楽しく勉強できるのがいいかなと思います。
この過去問集は問題と解答・解説が見開きになっているので、とても見やすいです。
また付属の「別冊まとめノート」は、基本的な知識の確認にも使えて便利です。
登録販売者の過去問集やテキストは、いろいろな出版社から発売されています。
選ぶときに迷う場合は、まず書店で直接手に取って見てみることをおすすめします。
何冊か見て、自分の好みに合うものをお選びください。
まとめ
これからさらにニーズの高まりそうな資格の一つ・登録販売者ですが、
私のように知識なしでもしっかり勉強すれば、3か月で合格も可能です。
また年齢や学歴も全く関係なく、シニアであっても、大卒でなくても大丈夫です。
登録販売者の資格は一生有効ですので、持っていればすぐ仕事に直結します。
私にとっては何より、一般医薬品から人体への影響や、薬の副作用、薬に関する法令まで、
様々な知識を身に着けることができて大変有益な資格取得となりました。