多重債務は単なる借金とは異なり、個人で解決するのは大変困難です。
多額の借金があり返済が厳しい、借金が雪だるま式に膨れ上がってしまい
どうしようもないなどのときは、どこに相談すればいいのでしょうか?
多重債務の解決方法や相談先をご紹介します。
多重債務の意味
多重債務はすでにある借金を返すために、他の金融業者から借入を繰り返すうちに
借金だけでなく、その利息も膨れ上がっている状態をいいます。
借金の額が大きいので、その利息もいわゆる雪だるま式に増えていき、
返済が追い付かなくなります。
多重多額債務とも呼ばれます。
多重債務者とは返済能力以上に借金を負い、債務超過になっている人のことで、
個人では手に負えなくなり、破綻するケースがとても多いです。
多重債務の金額はどれくらい?
多額の借金というと、どれくらいの金額になるのでしょうか?
返済に困る目安として、年収の3分の1がいわゆる多額の借金がある状態
とされています。
貸金業法でも、年収の3分の1までしか借金はできない「総量規制」
という決まりがあります。
2010年から総量規制が施行される前は、返済能力以上の過度な貸付が
社会問題となっていました。
借金を返さないとどうなる?
借りているお金を返済期日までに返さないと、「延滞損害金」が発生します。
延滞損害金の割合は、滞納している金額に年率で14.6%~20%という場合が
多いようです。
期日までに返済できないと、利息に加え延滞損害金も加算されていき、
借金はどんどん膨らみます。
数十年前までのような、暴力的な手荒い取り立ては法律で禁止されています。
借金を返さないまま1週間ほど過ぎると、メールや電話、手紙の郵送などで
督促状が来るほか、一括請求を求められたりします。
督促を無視し続けると、勤務先や自宅まで金融業者が直接訪問して
くるようになります。
また債権者(貸した側)が裁判所に申し立てをすると、銀行口座や給与などの
差押えに至る場合もあり、これは極力避けたいところです。
返済の滞納が続くとどうなる?
借金の返済が滞る「滞納」が2か月続くと、いわゆるブラックリスト
に名前が載ります。
これは「この人はこれくらいの借金を滞納しています」という情報が、
信用情報機関に登録されるということで、
こうなると他社からの新規借り入れやクレジットカードの作成、
利用が一定期間できなくなります。
またほかにも賃貸物件の契約ができない、スマホ代金の分割払いが
できなくなるなど、日常生活にデメリットが生じるようになります。
多重債務に陥る原因
多重債務に陥るのは、金遣いが荒い、浪費家などのイメージが
あるかもしれません。
しかし実際に多額の借金をしてしまう原因として、最近増えている
と言われているのが、失業や不況に伴う「収入減」や「低収入」です。
この場合生活費の足りない分を毎月のように借入してしまうため、
借金が積み重なりやすくなります。
ほんの数万円のつもりが、結局ずるずると借りてしまい、返済のために
他社から借金をするうちに、
どんどん借入金額が膨らんでいきます。
生活費を借入する前に、家計を見直して無駄な出費をカットするなどして、
収入の中から生活費を捻出するようにしましょう。
多重債務を解決する方法
多重債務に陥ってしまった場合、自力で解決するのは大変困難です。
ただ、解決する方法はあります。
・任意整理
・特定調停
・個人再生手続
・自己破産
の4つの方法があり、この中から自分に合った方法を選択することになります。
任意整理とは?
任意整理は、借りた人と貸金業者が話し合いをして借金の返済方法など
を見直す方法です。
弁護士や司法書士の手を借りながら、利息などを計算し直し返済計画を
練り直します。
例えば「金利を下げてもらえたら返済が可能」だという方は、
任意整理を選ぶことになるでしょう。
任意整理は借金の減額ができる反面、信用情報機関に滞納歴が登録されるほか、
クレジットカードの契約や借り入れができなくなります。
特定調停とは?
特定調停は、簡易裁判所に申し立てをし、借りた人の返済能力の範囲内で
借金を返すことで和解する方法です。
調停の中では、利息の再計算を行います。
裁判所には自分自身で手続きを行うため、費用などはあまりかかりませんが、
取り立てが停止するまで時間がかかるほか、調停が成立しない場合もあります。
個人再生手続とは?
個人再生手続とは、借金を返済できない状態であることを裁判所に認めてもらい、
住宅などの財産は残しつつ、借金を大幅に減額してもらうことです。
大幅に減った借金は、3年~5年で返済していくことになります。
個人再生手続きを行った場合、裁判所から文書が届いたりするため、
家族や会社に知られてしまうことは避けられないでしょう。
ただし債務整理したからと言って、会社を解雇されることはありません。
自己破産とは?
自己破産とは、借金の返済不能に陥っていることを裁判所に債務者本人が
申し立て、裁判所が債権者に破産宣告をすることで、個人破産とも呼ばれます。
土地や住宅、貴金属、預貯金、生命保険の解約返戻金など全ての財産を
債権者に分配し、残りの借金は免除してもらうことになります。
割賦で買った携帯電話なども本人名義の資産と見なされるため、
使用はできなくなります。
自己破産すると給与も処分の対象となりますが、それでは生活費も
なくなってしまうため、上限33万円までは手元に残しても良いと
されています。
自己破産しても、仕事はやめたりしなくても大丈夫です。
ただし信用情報機関に5年間は記録が残るほか、新たな借り入れは
できなかったり、一定の職業に就けないなどのデメリットがあります。
多重債務の相談先
多重債務で困った場合、どこに相談したらいいのでしょうか?
まずは「消費生活センター」へ相談しましょう。
消費者ホットライン局番なしの【188】(いやや)へ電話すると、
お住まいの地域の相談窓口を教えてもらえます。
また聖籠町の消費生活センターへ、直接電話しても構いません。
事務所は町役場内にあり、直通電話で消費生活相談員が相談を受け付けています。
聖籠町消費生活センター 0254-27-1958 受付時間:朝8時30分~夕方5時15分まで。 土日祝日、年末年始は休業。 |
弁護士会や法テラスもおすすめ
消費生活センター以外の関係機関でも、多重債務の相談窓口を設けています。
新潟県弁護士会 | 0254-27-2504 |
法テラス新潟 | 025-3388-5420 |
新潟県司法書士会多重債務ホットライン | 025-240-7974 |
新潟県消費生活センター | 025-285-4196 |
新潟財務事務所 | 025-281-7508 |
法テラスは国が設置した公的法人で、全国に事務所があります。
収入や資産が一定額以下などの条件を満たした個人の方を対象に、
無料の法律相談を行っています。
司法書士は破産申し立ての書類の作成など、事務面でのお手伝いをしています。
新潟県消費生活センターは新潟市上所のユニゾンプラザに事務所があり、
消費生活相談員が相談を受け付けています。
新潟財務事務所は財務省関東財務局が管轄しており、多重債務に関する
相談窓口を設けています。
多重債務で絶対にやってはいけないこと
多重債務で困っているとき、絶対にやってはいけないことがあります。
それはヤミ金融を利用することです。
ヤミ金融(ヤミ金)は、国や都道府県の貸金業登録を受けていない貸金業者
のことで、違法な貸し付けや個人情報の悪用などを行います。
ひとたび関わってしまうと、トラブルや犯罪に巻き込まれる可能性があります。
ヤミ金の勧誘手口は、
・SNSを使った個人間のお金の貸し借り
・給与ファクタリング
・後払い(つけ払い)現金化
などがあり、非常に巧妙で手が込んでいます。
給与ファクタリングとは?
給与ファクタリングとは、給与を受け取る権利を「債権」として受け取り、
早く現金化して資金を調達する方法です。
ファクタリング業者の中にヤミ金の存在が確認されているため、
金融庁では注意喚起を行っています。
給与ファクタリングを利用することで、ヤミ金と接触してしまう可能性が
あるため、注意が必要です。
後払い現金化とは?
後払い(つけ払い)現金化とは、商品を後払い決済で購入し、商品を現金化業者に
買い取ってもらうかキャッシュバックを受けて、現金を入手する方法です。
後払い現金化アプリなどもあり、取引を利用したことで個人情報がネット上に
拡散されたり、トラブルに巻き込まれたりする事例があるほか、
商品の価値に見合わない高額な買い取りにより支払い金額がかさみ、
かえって多重債務に陥ることもあるため、消費者庁では注意喚起しています。
まとめ
多重債務に陥るのは、ギャンブルやショッピングで浪費してしまうだけでなく、
収入減で生活費が不足することから、キャッシングが度重なり借金が増えるケースが
多くなっています。
多重債務で困ったら一人で悩まず、お住まいの市区町村の消費生活センターや弁護士会、
法テラスなどに相談しましょう。
ヤミ金融から連絡があっても取り合わず、上記にご紹介した窓口へ
ぜひご相談ください。