通信制高校の学費を見ると「高い」と感じられるでしょう。実は国が支給する「就学支援金」に申請すると、安くなることをご存じでしょうか?公立私立問わずほとんどの通信制高校は、就学支援金の対象校となっています。また授業料とは別に、教科書代や学用品代などを支援する「高校生等奨学のための給付金」もあります。
就学支援金制度とは?
就学支援金制度は、文部科学省のHPによると下記の通りです。
「授業料に充てるための就学支援金を支給することにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の実質的な機会均等に寄与することを目的としています」
高校は国公私立問いません。
「高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯(※年収約910万円未満の世帯)の生徒に対して、 授業料に充てるため、国において高等学校等就学支援金を支給します。※両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子供がいる世帯」
通信制高校に限らず、全日制や定時制の高校も対象となっています。
就学支援金をもらう条件
ただし、就学支援金をもらうには、条件があります。
1.日本国内に在住、高等学校に在学している。
2.世帯年収が約910万円未満世帯の生徒。
保護者等の課税標準額(課税所得額)×6% - 市町村民税の調整控除額 = 30万4,200円未満。
下記の方は、就学支援金給付の対象外です。
・高校等を既に卒業した生徒や、3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒。
・専攻科、別科の生徒や、科目履修生、聴講生。
(専攻科については別に授業料等に対する支援があります)
・一定の基準を超える収入がある世帯(世帯年収が約910万円未満世帯)の生徒。
受給には手続きが必要
就学支援金をもらうためには、申請手続きが必要です。手続きをしないともらえません。
高校入学時(入学式や入学説明会など)の4月に学校から書類が渡されるので、記入して期限までに提出します。
書類で申請を行う場合は、以下の書類の提出が必要です。
・受給資格認定申請書(学校を通じて配布)
・マイナンバーカードの写し等(マイナンバーカードの写しまたはマイナンバーが記載された住民票の写し等)
また一部の学校では、オンラインによる申請も可能です。
ログインには、学校から配布されるID・パスワードが必要です。
就学支援金はいくらもらえるの?
公立高校の定額授業料の場合は、
・全日制は月額9,900円
・定時制は月額2,700円
・通信制は月額520円です。
公立高校の単位制授業料の場合は、
・全日制(36か月)は1単位につき4,812円(通算74、年間30単位まで)
・定時制(48か月)は1単位につき1,740円(通算74、年間30単位まで)
・通信制(48か月)は1単位につき336円(通算74、年間30単位まで)
私立高校の定額授業料の場合、全日制・定時制・通信制ともに月額9,900円が支給されます。
私立高校の単位制授業料の場合、
・全日制(36か月)1単位につき4,812円(通算74、年間30単位まで)
・定時制(48か月)1単位につき4,812円(通算74、年間30単位まで)
・単位制(48か月)1単位につき4,812円(通算74、年間30単位まで)
世帯所得が年間590万円未満の場合は、単位制通信制高校に通う生徒はさらに7,218円加算され、最大で12,030円もらうことができます。
590万円~910万円未満の場合は、4,812円が支給されます。
ただし就学支援金には支給される期間と、単位の上限があります。
支給時期は48か月、単位の上限は在学中の通算で74単位、年間30単位までとなっており、超えた場合の授業料は、自己負担となっています。
また就学支援金は授業料に対して支給されるもので、教科書代や施設設備費などの諸経費は対象となっていません。
通信制高校の場合、公立高校では世帯所得910万円未満の家庭では授業料はほぼ無償、
私立高校では、世帯所得590万円未満の家庭では授業料はほぼ無償、
590万円~910万円未満の家庭では、授業料から就学支援金の支給額を差し引いた残りは自己負担となります。
いつどうやって支給されるの?
就学支援金は各家庭に現金で支給されない他、振り込みなどでも支給されないので、振込日や支給日というのはありません。
公立高校の場合、各学校に直接支給された就学支援金は授業料に充てられるので、他の費用に転用されることがないようになっています。
私立高校の場合は、
・前期分を支払い、後期分は就学支援金で相殺
・いったん授業料を支払い、就学支援金が支給されたら差額を返金
などなど、各学校により処理の仕方が異なりますので、確認しましょう。
入学時に支給されないと判断されたらずっともらえないの?
就学支援金が支給されるかどうかの判断は、毎年度収入状況の確認が行われるため、1年目でもらえなかったとしても、2年目からもらえるようになる場合もあります。
1年生の場合は4月と7月の2回、2・3年生は7月の1回、確認のための書類が配布されます。書類に必要事項を記入し、課税証明書などを添付して毎回提出して申請するのが必須となっています。
同居の祖父母の所得は支給に関係ある?
両親と一緒に祖父母とも同居し、その祖父母は働いていて収入がある場合でも、就学支援金の支給に関係はありません。
就学支援金は、生徒の親権者である「保護者」の収入で決まるからです。
現住所とは別の都道府県にある学校に通っている場合
就学支援金は国の制度なので、日本全国どこにある学校に通っていても、支給が可能と判断されればもらうことができます。
ただし、国の就学支援金とは別に各都道府県で就学支援が行われていることがあり、上乗せして支給されることもあります。
各都道府県ごとに就学支援の方法などが異なるため、担当窓口に問い合わせてみましょう。
ちなみに授業料より就学支援金の方が多くなったとしても、その差額分を現金や振り込みなどでもらうことはできません。
授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」
就学支援金は高校の授業料を支援するものですが、授業料以外にかかるお金、例えば教科書代や学用品代を支援する「高校生等奨学給付金」という制度もあります。
文部科学省のHPによると、
「全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等がいる低所得世帯を対象に支援を行う制度」です。
高校生がいる低所得者世帯とは、生活保護世帯や年収270万円未満の世帯です。
授業料以外の教育費として、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等への補助金がもらえ、返還は不要です。
対象となる世帯は、
・生活保護受給世帯、県民税・市町村民税所得割が非課税の世帯。
・生徒が就学支援金受給資格を持っていること
・また保護者が新潟県内など、当該都道府県内に住所があること(住んでいること)
です。
国公立高校と私立高校では、支給額が若干異なっています。
費用は国が負担し、給付金の手続きや支給は新潟県を通して行われます。
国公立高校の支給額はいくら?
【生活保護世帯で高校に通う生徒】
年額3万2,300円が支給されます。(全日制・定時制・通信制)
前倒し給付(新入生の4~6月分早期給付)の場合は、8,000円
【生活保護世帯の専攻科に通う生徒】
年額5万500円が支給されます。
前倒し給付(新入生の4~6月分早期給付)の場合は、12,000円
【非課税世帯の生徒で全日制・定時制高校に通う生徒】
年額11万4,100円、前倒し給付は2万8,000円
2人目以降は143,700円(一人当たり)
【非課税世帯の生徒で通信制高校または専攻科に通う生徒】
年額5万500円、前倒し給付は1万2,000円
私立高校の場合の支給額はいくら?
【生活保護世帯の生徒で全日制・定時制・通信制高校に在学の場合】
年額5万2,600円が支給されます。
前倒し給付(新入生の4~6月分早期給付)の場合は、3万9600円
【非課税世帯の生徒で全日制・定時制高校に在学の場合】
<第1子>年額13万6400円、前倒し給付は10万1600円
<第2子以降>年額15万2千円、前倒し給付は11万9千円
【非課税世帯の生徒で通信制高校に在学の場合】
年額5万2100円、前倒し給付は3万9100円
【非課税世帯の生徒で専攻科に在学の場合】
年額5万2100円、前倒し給付は3万9100円
なお国公立高校・私立高校いずれも、家計が急変して非課税相当になった世帯も対象になります。
申請の方法は?
毎年9月下旬に、学校を通して案内が配布されます。
また新入生は、4~6月に一部早期支給の申請ができる場合もあります。
必要書類は新潟県のHPから入手できます。
国公立高校の場合はこちら⇒奨学のための給付金 申請手続きについて
私立高校の場合はこちら⇒ 奨学のための給付金 申請手続きについて
振込日はいつ?
12月下旬頃に、年額一括振込されます。