インティマシーコーディネーターなしで撮影した映画【先生の白い嘘】はそんなにひどいの?

エンタメ
*本記事はプロモーションが含まれます。

鳥飼茜先生原作のコミック「先生の白い嘘」が、女優の奈緒さん主演で映画化され

公開されました。(監督・三木康一郎さん)

 

性的描写や暴力的場面が少なくないこの映画は、インティマシーコーディネーターなしで

撮影されたことで話題になり、一部批判も集まりましたが、

本当にひどい映画なのでしょうか?

あらすじは?

「先生の白い嘘」を原作を読んだことがある方は、すでにご存じかもしれません。

私は原作は読んでいませんが、映画館へ足を運び、実際に作品を鑑賞しました。

 

 

 

「先生の白い嘘」は、男女の性差や性暴力の問題に真正面から取り扱っています。

 

 

 

高校の国語教師の原美鈴は、親友である美奈子の彼氏・早藤から大学時代性的暴行を受けて以来、

数年間にわたり性的関係を強要され続けていました。

 

 

 

彼の一方的で暴力的な性的関係は常軌を逸し、美鈴は心身ともに異常をきたすほどでした。

受診した心療内科の医師にも本当のことが言えないほど悩む美鈴。

 

 

 

そこから抜け出したいと思う反面、彼の執拗な要求が続くのは「自分が女性だから」である

と思いこみ、女性である自分を憎みつつも、一方で男から求められる立場である自分を

受け入れている「矛盾」のようなものも抱えているように見えます。

 

 

 

勤務する学校で美鈴は、受け持ちのクラスの男子生徒・新妻から性に関する個人的な悩みを

打ち明けられます。

 

 

新妻との面談では教師としてではなく、女性としての立場で性差についての日頃の怒りを

にじませる美鈴。

 

その姿に戸惑いながらも、新妻は何かを感じ取るのでした。

 

 

進路指導室で何度か面談を重ねるうち、二人の間は徐々に親密さを増していき・・・

 

 

新妻との関わりで自分を取り戻すきっかけをつかんだ美鈴は、

美奈子と結婚することが決まってもなお、美鈴に関係の継続を迫る早藤と決別

しようと思い始めるのでした・・・

 

コミックは全8巻

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先生の白い嘘は、1巻~8巻まであります。

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DVDも出ています

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コミックとDVDを見比べてみるのもいいかもしれません。

イメージが異なるでしょうか?

 

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主要キャストとキャラクター

原美鈴(奈緒)・・・

高校の国語教師。地味で控えめなタイプの眼鏡が似合う女性。

早藤に大学時代、性加害を受けたのが初めての男性経験だった。

祖母が遺した古い一軒家に一人暮らししている。

 

 

早藤雅巳(風間俊介)・・・

美奈子の父親が重役を務める不動産会社に勤務するサラリーマン。

美奈子との交際期間中に美鈴と関係を持ち続ける。

美鈴との性行為に異常なまでの執着を見せ、美鈴を束縛したがる。

 

 

渕野美奈子(三吉彩花)・・・

美鈴の親友。といってもお互いがお互いを軽蔑しあっている。

美鈴とは異なり、メイクやファッションに気を使い男の気を引こうとする、

ちょっと派手めで積極的なタイプ。

 

 

新妻祐希(猪狩蒼弥)・・・

美鈴のクラスの男子生徒。

祖父が庭師であることから、高校では園芸部に所属している。

アルバイト先の花屋の奥さんから性的関係を迫られ、愛のない性行為に悩む。

 

 

インティマシーコーディネーターなしで撮影された

「先生の白い嘘」はテーマがかなりハードで、ストーリーや場面描写もある意味

ショックを感じる部分が少なくありません。

 

 

最近は性的描写を含む映画では、「インティマシーコーディネーター」という第三者に

撮影に関わってもらうケースが増えています。

 

 

「先生の白い嘘」では、「インティマシーコーディネーターを付けて映画を撮影すべきだった

という声が多く上がりました。

 

 

この映画の撮影前は、インティマシーコーディネーターを付けて撮影するということだった

そうですが、

その後監督や奈緒さんをはじめとする出演者との話し合いで、

「インティマシーコーディネーターは付けずに撮影する」ことで合意したとされています。

 

 

作品が公開されると、

「インティマシーコーディネーターなしでこんなにハードな撮影をして、

俳優さんたちは大丈夫なの?」と心配する声が上がるとともに、

監督など制作側に対する批判もありました。

 

 

ただ主演の奈緒さんは公開後「私は大丈夫です」と発言しています。

 

 

私は観客側なので、インティマシーコーディネーターを付けるべきだったかどうかは

よくわかりませんが、おそらくインティマシーコーディネーターを付けて撮影すると、

かなりの部分がカットされたり、変更を余儀なくされてしまい、

監督が表現したかったことができない、不完全燃焼な作品に終わってしまったのではないかと

推察されます。

(まったくの私見ですが・・・)

インティマシーコーディネーターとは?

インティマシーコーディネーターは、映画やドラマなどで性的場面を撮影する際、

俳優と監督の間に入り、安心して撮影できる環境を整える役目を担う職業です。

 

 

脚本をチェックし、俳優や監督との間で細かい打ち合わせを繰り返し、入念な準備を行います。

 

 

欧米では、インティマシーコーディネーターは2018年ころから存在していました。

 

 

日本では人数が少なく、撮影現場でのインティマシーコーディネーターの配置はまだ一般的

ではありません。

 

映画を見てどうだった?感想は?

映画「先生の白い嘘」は、激しい性的描写や暴力的な場面について取り上げられることも多く、

またインティマシーコーディネーターなしで撮影されたことで、「ひどい映画」と思われる方も

いらっしゃるかもしれません。

 

 

 

たしかに性的場面や暴力的な場面は結構あるので、未成年が見る場合は大人の助言が必要です。

(R15指定)

 

 

実際見る人によっては目をそむけたくなるシーンもあるため、

大人が見る際も勇気が必要だと思います。どうか覚悟してご鑑賞ください。

 

 

 

こうした場面描写は作品のテーマ性を考えると、ある意味必要なのかなと思います。

 

 

ただ映画自体はとても見ごたえがあり、素晴らしい作品でした。

 

 

出演者の方々は大変ハードな撮影をこなされ、心身共にお疲れになったかと思いますが、

反面「やりきった」という気持ちも持たれたのではないでしょうか?

 

 

特にラストシーンには希望が持て、心が温かくなりました。

 

 

ここで各俳優さんの演技についても感想をご紹介します。

 

奈緒さんの代表作の一つとなりそうな作品

私は奈緒さんという女優さんを映画「先生の白い嘘」を見るまでは、

あまりよく知らなかったのですが、奈緒さんは美鈴のイメージにぴったりであり、

かつ難しい役を良く演じ切ったと思います。

 

 

三木監督は、「先生の白い嘘」を映画化するにあたり美鈴役を何人かの女優さんにオファーし、

すべて断られたそうです。

 

 

断る女優さんがいても不思議ではないほど、難しい役だと思います。

 

 

でもダメもとで?奈緒さんに出演依頼したところ「やります」と承諾してもらったそうです。

 

 

「先生の白い嘘」を見て、私は奈緒さんの大ファンになりました。

とてもかわいらしいルックスの方ですが、芯の強い方だと感じました。

激しい性的シーンもいとわず、細かい仕草や表情で美鈴の感情をうまく表現していたと思います。

 

 

藤ヶ谷太輔さん主演の映画「傲慢と善良」でも、素晴らしい演技を見せてくれています。

 

早藤を演じた風間俊介さんにとってもハードな役だったのでは?

「先生の白い嘘」は、女性の側からだけでなく男性の側から見てもかなりハードだと思います。

か弱い女性に対し、性行為を含む暴力で支配する早藤を演じた風間俊介さんにとっても、

難しい役どころだったのではないかと思います。

 

 

特定の女性との性行為に、暴力的なまでに執着する男はというのは特異なキャラクターです。

 

 

早藤という嫌な男を、風間さんは大変うまく表現していたと思います。

その証拠に映画を見終わって、私は風間俊介さんが嫌いになってしまいました。(泣)

 

 

観客に嫌われたら、悪役を演じた俳優の演技は大成功ということになりますね。

 

演技力アップで魅力増す三吉彩花さん

スタイル抜群・美貌の持ち主の三吉彩花さんが、美奈子の役をここまで演じ切るとは、

正直予想していませんでした。

 

 

美奈子は早藤と結婚したわけですが、夫婦となった二人の間には恋人時代とは違う

激しくも厳しいやり取りが劇中では登場します。

 

 

ちょっと長回しのシーンなのですが、これを見て三吉彩花さんの演技力が格段にアップ

しているのを感じました。

 

 

 

2019年のミュージカル仕立ての映画「ダンス・ウィズ・ミー」では三吉さんは主演を務め、

歌声やダンスを披露していますが、演技はまだ少し気ごちなさがあるかな?と思っていました。

 

 

「ダンス・ウィズ・ミー」から数年経て、今回の「先生の白い嘘」では、

ただの美人女優ではない、三吉彩花の新しい魅力を見ることができます。

 

キーパーソン・新妻君には最適の猪狩蒼弥さん

男子生徒の新妻君は、美鈴が自分自身を早藤の支配から解放するきっかけとなった人物であり、

この映画のいわゆる「キーパーソン」ともいえる役どころです。

 

 

新妻君がいなかったら、この映画はドロドロしたものがメインとなっていたかもしれません。

美鈴にとって、新妻君は最初は生徒の一人だったのですが、

彼と話すことをきっかけに、自分の現状を大きく変えるある意味「希望の光」となったのです。

 

 

新妻君は早藤とは対照的な男性で、早藤の一連の言動は高校生の新妻君より幼稚に見えてしまいます。

 

 

かといって新妻君も未成年であり、まだ未熟なのですが、

正直で澄んだ心を持つ彼のキャラクターは美鈴の心だけでなく、見ている観客の心も

晴れやかにしてくれるようでした。

 

 

前述しましたが、特にラストは心が温かくなる、希望が持てるようなシーンで、

映画全体の中でも重要な場面だと思います。

 

まとめ

インティマシーコーディネーターを付けずに撮影された映画「先生の白い嘘」は、

ひどい映画ではないと私は思っています。

 

インティマシーコーディネーターが不要かどうかは、制作側が出演者側と話し合い

決めることだと思いますし、観客は作品を鑑賞して様々な感想を持っていいと思います。

 

性的描写や暴力的な場面だけでなく、各俳優さんが全力で演じ切った演技のすばらしさを

堪能してほしいですね。

 

三木監督は決して性的描写を強調したいわけでなく、各役柄に対して愛情を持った視点で

この映画を撮影されたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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