2024年は米の価格が高騰し、食卓を直撃しています。
昨年23年の猛暑の影響では特に、高品質の米の流通量が減ってしまい品薄状態が続いています。
さらに追い打ちをかけるように、24年も猛暑の影響で米は不作の可能性が・・・
新潟県のお米で、暑さに強いコメの品種にはどんなものがあるのでしょうか?
米の価格は昨年比の2倍!の高値
新潟産コシヒカリの取引価格は、2024年7月30日現在で1俵(60Kg)約28,500円と、
なんと昨年の2倍の高値を付けています。
冷夏の影響で需給バランスの崩れた2003年9月は、27,250円を超える高値です。
人気銘柄のあきたこまちも、昨年比81%高の27,650円を付けています。
(日経新聞2024年7月30日付の記事より)
スーパーでは米の購入制限が始まっている
昨夏は猛暑と少雨が重なり、米が不作となってしまいました。
このためコシヒカリなどは品質が下がり、
高品質の米は市場に出回る量が大変少なくなっています。
コメ卸業者では在庫が不足しており、首都圏を中心にスーパーなどの小売店では
仕入れ量が確保しにくい状態です。
首都圏のスーパーでは「1家族当たり2袋まで」など、購入制限を設けるお店も出てきました。
お店でお米が手に入りにくいというのは、とても不安です。
日本人の主食はやはり「米」が多く、今まで米不足という事態はあまりなかったため、
当面は米以外の主食を選択しなければならないのでしょうか?
「平成の米騒動」があった
今から30年ほど前、1993年~94年の平成の時代に米の価格が高騰
したことがありました。
「平成の米騒動」と呼ばれ、この時は冷夏で米が凶作だったことを思い出します。
この時は、94年3月に5万2500円まで高騰しました。
米を買い占める業者も現れ、店頭から米が消えるという異常事態に、
政府はタイやアメリカからコメを輸入する緊急措置を取りました。
しかし残念ながら、タイ米はあまりおいしくなく不人気でした。
当時のタイ米は、舌の肥えた日本人の口に合わなかったのかもしれません。
米価格高騰・猛暑で不作以外にも理由があった
2023年~24年の米価格高騰の理由は、猛暑による不作だけではありません。
実はコロナ禍明けのインバウンドの増加や、消費回復から外食産業の需要増加も
米価格の高騰に影響しています。
暑さに強いコメの品種はある?
平成の米騒動や2003年の冷害などから、寒さに強いコメは今まで品種改良が行われてきました。
しかしたった30年で気候は大きく変動し、今度は暑さに強いコメの品種改良が待たれる事態に
なるとは、だれが予想したでしょう。
たった30年で、今度は猛暑で米が不作とは。
激しい気候変動には驚かされます。
稲は多少暑くても米を作ることはできるのですが、暑さに負けない(高温耐性)
稲の品種はまだまだ改良が必要のようです。
暑さでコメの品質が落ちる原因は、米にでんぷんがうまく貯まらず粒が白く濁って
しまうことです。
ただ、米粒が白くなりにくいとされる稲もあって、
暑さに強く、高温でも安定した品質のコメの品種として名前が挙がっているのは、
・コシヒカリ
・農林6号
・農林22号
・越路早生
・台湾育成品種群など
のほか、山形県の「はえぬき」も高温でも品質が安定しているという評価があります。
参考記事:稲は寒さに強い品種があることは分かりましたが、暑さに強い品種はあるのですか?
農林22号とはコシヒカリのお母さんで、農林22号のお父さんが農林6号です。
越路早生(こしじわせ)は、新潟県で一番早い新米で柏崎地域でのみ栽培されています。
新潟米「新之助」は暑さに強いコメ
新潟の新品種ブランド米「新之助」は県を挙げて、平成20年(2008年)に開発が
始まりました。
5年間にわたる食味検査を重ね、コシヒカリと比較されることで品質に磨きを
かけてきました。
コシヒカリの遺伝子を受け継ぐ品種・新之助ですが、開発途上の2010年は
大変な猛暑に見舞われました。
新潟県産コシヒカリが猛暑の影響で品質を大きく落としたのに対し、
新之助は品質低下することなく、高温に強い品種であることが証明されています。
参考記事:新之助開発ストーリー
こしいぶきも暑さに強いコメの銘柄
新潟県の「こしいぶき」も暑さに強いコメの銘柄と言われています。
こしいぶきはコシヒカリの良さをたくさん受け継いだ品種で、味よし・粘りよし・ツヤよし
の三拍子が揃っています。
それもそのはず、800余りの品種交配から生まれた品種で、
冷めても味が落ちない、炊き立てはつやつや、硬さや粘りのバランスもGOOD!
しかもコシヒカリよりもお値段はお手頃の、お財布に優しいお米です。
参考記事:こしいぶき|JA全農新潟
早場米はいつ出回るの?
米の出荷の最盛期は毎年9月下旬頃ですが、米の在庫が少ないため、
早場米(はやばまい)の出荷を待ちわびている方も多いかもしれません。
「早場米」は早生品種のことで夏の新米とも呼ばれ、稲を早植えしなくても
早期出荷が可能な品種です。
8月下旬頃から出回るようになります。
新潟県では極早生(ごくわせ)品種で食味の良い、新品種・葉月みのりのほか、
前述の「越路早生」や「雪ん子舞」があり、いずれも8月末には出荷される予定です。
またこしいぶきは9月初旬に、こしひかりは9月中旬、新之助は9月下旬に
出荷予定です。
どの新米も待ち遠しいですね。
早場米「五百川」収穫スタート
コシヒカリ系の早生品種の一つ「五百川」(ごひゃくがわ)の収穫が、
2024年は8月8日から始まりました。
五百川はコシヒカリの変異種から開発され、見た目や食味はコシヒカリによく似ています。
4月末に田植えをし、100日程度で収穫できるようになるため、
米の品薄感が日に日に強まる今、今年の出来栄えに注目が集まっています。
柏崎産極早生米「葉月みのり」収穫スタート
いろいろあるお米の品種の中でも特に、「極早生」(ごくわせ)と呼ばれる
収穫の早い品種が「葉月みのり」です。
コシヒカリとこしいぶきなどを交配し開発された「葉月みのり」は、
米の粒が大きく、炊きあがりのつやや香りのよい、甘みのあるお米です。
柏崎市内の藤井という地域で収穫されます。
2024年の葉月みのりは、春先から天候の悪影響を受けず順調に生育している
とのことです。
葉月みのりは、8月20日以降新潟県内のスーパーを中心に販売、
アマゾンなどのネット通販でも購入できます。
2024年産新潟米は平年並みの作況に
農林水産省が8月に発表した2024年産米の作柄概況によると、
新潟県産米は平年を100として比べると、99~101に該当する「平年並み」
に落ち着きそうだということです。
2023年は記録的な猛暑に見舞われ、雨がほとんど降らず過酷な生育環境だったため、
「やや不良」と過去最低の作況となっていました。
今年は昨冬の少雪のため、山間部で渇水状態となり田植えができなかった地域もあったものの、
その他の産地では順調に稲は生育しています。
ただ気になるのは、収穫を控えた初秋に台風の影響で稲が倒伏しないかどうかです。
稲の大敵は雨よりも「風」だそうです。
大切に育てたお米が無事に収穫されることを願っています。
コメの作柄概況について
コメの作柄概況は10アール当たりの収穫量を100として、良否を5つの区分に分けて表します。
良(106以上)
やや良(105~102)
平年並み(101~99)
やや不良(98~95)
不良(94以下)
作柄概況は実際に水田で調査をし、8月15日時点・9月25日時点 ・10月25日時点
の結果が公表されます。
まとめ
コメの不作から市中の在庫が不足し、米の購入制限が行われるのはめったにないことなので、
戸惑ってしまいますね。
8月下旬からは早場米の出荷が始まるので、少しは在庫不足解消につながるでしょうか。
高温に強いコメについて調べていくうちに、開発関係者の方々のご苦労や努力を思い、
おいしくて品質の良い、暑さに強いコメが食べられることへのありがたさを感じます。