新潟県をはじめ、日本全国で不登校の小学生や中学生が年々増え続けています。2021年度の調査では不登校の児童・生徒数は約24万人。なぜ不登校になるのか、不登校になる原因は大きく分けて4つ挙げられます。
全国で24万人超・不登校の小中学生が増えた理由
文部科学省の調査によると、2021年度には不登校の小学生・中学生は全国で24万人にも上ることがわかりました。これは過去最多の数字です。不登校の子は、2013年度から右肩上がりでずっと増え続けています。
一昔、ふた昔前までは、「不登校の児童や生徒数を明かすのは恥ずかしい」という考え方があったため、正確な不登校の小学生・中学生の数が把握できていませんでした。
なぜ不登校の小学生・中学生が増えているかというと、まず一番に挙げられるのは、法律で「不登校は問題行動ではない」と定義づけられたからです。(2016年成立の教育機会確保法)
また芸能人をはじめとする著名人がかつて不登校であったことを明かす事例も多くなってきました。マツコ・デラックスさんや中川翔子さん、指原莉乃さんなどの体験談を聞いたことがある方も少なくないでしょう。
そんな中で「不登校は特別なことではない」という認識が広がり、浸透しつつあります。
また2020年から始まった、世界的なコロナウイルス渦で学校が長期間休校になったことも影響しているかもしれません。
時代の変化とともに、「無理して学校に行かなくてもいいのでは?」と考える小学生や中学生も増えているのでしょうか。
不登校になるきっかけや原因は?
不登校になるきっかけはさまざまで、複数の原因が絡む場合もあるようです。
大雑把に見てまず挙げられるのは「いじめ」、次に「先生と合わない」「敏感(HSC)」「学習障害(ADHD・空気を読むのが苦手など)」とされています。
また本人にも理由が説明できない、言葉にできないなどのケースもあり、外部からは特定できない場合もあるようです。
ちなみに「HSC」とは、Highly Sensitive Child=人一倍敏感な子どもという意味で、アメリカの心理学者・アーロン氏が提唱した言葉です。
HSCの子どもは日本では5人に1人いると言われ、音やにおいに敏感で、集団行動やにぎやかな場所が苦手なのが特徴です。HSCは「学校になじめない」「不登校」の原因の一つと言われています。
ADHDは注意欠如・多動性障害・多動症とも呼ばれ、年齢や発達に比べて集中力がない(不注意)、じっとしていられない(多動性)、思いつくとすぐ行動する(衝動性)が特徴です。
小学校入学前の7歳以前からADHDの傾向が見られ始め、大人になってからも続く場合もあるようです。
ADHDの原因はまだはっきりわかっていませんが、脳の成長に偏りがあることが関係しているともいわれています。
人間関係による不登校
人間関係による不登校の原因として「先生と合わない」のほか、友人や部活の先輩・後輩との関係、またSNSのトラブルなどがあります。
学校は子どもにとって1日の大半を過ごす場所ですので、毎日顔を合わせてともに集団生活を送る周囲の人達との関係がうまくいかないと、学校に行きたくなくなってしまうのでしょう。
人間関係がうまくいかないことで本人は悩んでいても、外部から見て人間関係が原因で不登校になっていることが、あまりよくわからないこともあるかもしれません。
本人が悩んでいることを話しやすい雰囲気や環境を作ってあげ、よく話を聞いてあげることが大事です。
学校生活の中に不登校の原因があることも
学校の人間関係以外に、学校生活の中で不登校の原因になっているものがあります。
例えば、
・授業についていけない
・クラスに苦手な人がいる
・いじめ
・学校行事が嫌い(運動会や文化祭など)
授業についていけないことが原因で、級友たちとなじめない場合もあります。
学習の進み具合をチェックし、わからないところをわかるようにサポートしてあげることで成績が上がり、学校へ行く意欲がわく場合もあるでしょう。
いじめに関しては、本人は「いじめられている」「苦手な人と接触したくないのに、その人がなぜか自分に関わってくる」と思っていても、相手はあまり深く意識していない、またいじめだと思っていないケースもあるようです。
親や先生が、本人の気持ちをよく聞いてあげることが大切です。
自分自身の問題を抱えている場合
学校の人間関係や学校生活とは別に、自分自身が何らかの問題を抱えている場合、不登校の原因となることがあります。
例えば、
・無気力。なにもやる気がしない
・学校に行く意味がわからない
・学校へ行くのが何となく不安
・長期間学校を休んで行きづらさを感じている
・学校生活よりも遊びや非行に関心が向いている
・自分らしい生き方を模索
学校に行くことが人生のすべてではありませんし、本当に今通っている学校が本人に合っているのか、別な学校やスクールを選択する方がいいのかなど、親や先生がまず第一に、本人の考えをよく聞いてあげることです。
家庭環境による不登校の原因
家庭の事情(家庭環境)などで、不登校になる原因があります。
例えば最近ニュースでも取り上げられることの多い「ヤングケアラー」、病気の親の看病や介護、幼いきょうだいの世話などで、学校に行くことが難しいという子どもが多くいます。
また家庭内の不和、特に親との関係が悪いと精神的に不安定さを抱え、学校に行きたいと思えない状態になります。
親から学校に行かせてもらえない、という家庭の子どもも少なからずいます。
不登校は甘えなの?
前述したように、不登校の原因は様々で複雑に絡み合っていることもあります。
原因の大半は学校生活や人間関係などによる「ストレス」であり、本人は大変つらさを感じています。
親御さんの中には、「自分の育て方が悪かったから?」「普段忙しくてかまってやれず、接し方が悪いから?」など悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
「不登校は甘え」「甘やかしすぎ」というのは、なんとなく言われていることであり、根拠がありません。
まずは、不登校であることを怒ったり責めたり、登校を強制したりせず、本人のつらい気持ちをじっくり聞いてあげると良いでしょう。
不登校と欠席の違い
文部科学省によると不登校の定義は、「病気や経済的な理由などといった特別な事情がなく、年間の欠席日数が30日以上となった状態」のことを指します。
最近では、教室に入れないけれど保健室では過ごせるというケースも、出席扱いにする学校が増えています。
不登校は出席扱いになるって本当?
義務教育期間である小学校や中学校では、不登校になった子どもに対し様々な配慮がなされています。文部科学省では不登校の児童や生徒が、教育支援センター(適応指導教室)、民間施設などの外部機関で指導を受ける場合や、ITを使った自宅学習に取り組むなどの一定の要件を満たせば「出席扱い」としているほか、不登校であっても義務教育は卒業できます。
中学校では不登校になった子供が高校受験が可能になるよう、「中学校程度卒業認定試験」の受験資格を拡大しています。
不登校の中学生の高校受験はどうなる?
中学生の場合、3年間不登校であっても高校受験は可能です。
ただし出席日数が足りない、また定期テストを受けないと成績がつけられないため、いわゆる内申書(調査書)を作ることができませんので、公立高校の場合は内申点では不利になります。
しかし当日の受験の点数を重視したり、不登校だった子でもOKという高校など、最近ではいろいろな高校があります。
もし子どもが不登校になったら・親にできること
学校に行くことができない子は、心にダメージを負っている状態と考えましょう。
登校したくないのに無理強いさせて行かせたり、我慢させて登校を続けさせたらいけません。
まずは傷ついた子どもの心を守り、自己肯定感を取り戻すまで待ってあげましょう。
不登校の子を持つ親御さんにできることは、
・子どもに「学校を休んでいいよ」と伝える。
・「大変だったね」「よく頑張ってきたね」など頑張りを認める言葉をかける。
・子どもの話をじっくり聞き、受け止める。否定したりしない。
・担任の先生やスクールカウンセラーと連絡を取り合い、連携する。
・教室ではなく「保健室」などの別室登校の提案。(登校できそうな感じになってきたら)
不登校についての相談や支援をする公的窓口
不登校の子どもとその親御さんの相談窓口となる支援団体が、公共・民間含めていろいろあります。
何か困ったことがあったとき、力を貸してくれます。
支援団体 | 公共・民間 | 聖籠町の場合 |
各自治体(市区町村)の子育て窓口 | 公共 | 聖籠町子ども家庭相談センター⇒こちら |
児童相談所 | 公共 | 新発田地域振興局内の新発田児童相談所⇒こちら |
ひきこもり地域支援センター | 公共 | 新発田地域振興局保健福祉環境部⇒こちら |
教育支援センター・適応指導教室 | 公共 | 聖籠町適応指導教室「フレンドルーム」⇒こちら |
発達障害支援センター | 公共 | 聖籠町の発達障害相談窓口⇒こちら |
発達障害の診療などを行っている医療機関 | 公共・民間 | 新発田市内の小児科や心療内科など⇒こちら |
不登校の子の居場所
不登校の子の居場所は、学校以外にもいろいろあります。
前述のように、お住まいの自治体で運営する「適応指導教室」をはじめ、民間団体な運営する「フリースクール」や「オンライン学習塾」、不登校の子に対応した「個別指導塾」や「オンライン家庭教師」などです。
また、聖籠町では各小学校区ごとに「子どもソーシャルワーカー」を配置、電話や家庭訪問などを行い相談者が利用しやすいよう配慮していますので、最初にどうしたらいいかわからないという方は、ぜひ相談なさってみてください。
聖籠町の子どもソーシャルワーカーについて ⇒こちら
聖籠町の適応指導教室「フレンドルーム」
聖籠町では、不登校の児童や生徒のための適応指導教室「フレンドルーム」が開設されています。
フレンドルームは家庭と学校の中間のような「居場所」です。
【開室時間】月曜から金曜まで 午前9時30分~午後3時30分
【場所】結いハート聖籠 2階
フレンドルームで何をして過ごすかは、自由です。
開室時間内であれば、何時に来ても何時に帰っても構いません。
読書やスポーツ、趣味など自分の好きなことから始めて、フレンドルームでの時間に慣れていきましょう。
勉強がしたい場合は、指導員の先生がサポートしてくれます。
【フレンドルームに関する問い合わせ先】
フレンドルーム | 0254-27-3977 |
聖籠町教育委員会 教育未来課 | 0254-27-1950 |
子ども家庭相談センター | 0254-27-7082 |
【フレンドルームへのアクセス】
住所:〒957-0117 新潟県北蒲原郡聖籠町諏訪山1560−3
不登校の子を持つ親が話せる場所
お子さんもつらい中、親御さんもつらさを抱えています。
不登校のお子さんをお持ちの親御さんが、不安な気持ちやストレスを和らげる場所としておすすめなのが、「不登校の子の親の会」です。
新潟市や長岡市では民間で、不登校の子の保護者が子どもの現状や経験などについて語り合える場が設けられています。
その中でも新潟市中央区、秋葉区、西蒲区、新発田市で毎月例会が開催されている「アーベルの会」をご紹介します。
名称 | 内容 | 会費の有無 |
アーベルの会⇒こちら | 月1~2回例会が開催される。新発田地区例会もあり。 | 有。2,000円/年 |
お子さんが不登校であることを周囲にはあまり話したくないという場合でも、同じ不登校の子を持つ親同士なら、状況や気持ちが分かり合えるかもしれませんね。