手厚い子育て支援策を長年展開し、新潟県内で人気の自治体
【聖籠町】は若年層が他の自治体よりも多く暮らす町
として知られていますが、出生率や出生数は
どれくらいなのでしょうか?
合計特殊出生率は全国平均よりもかなり高い
まずは「合計特殊出生率」を見ます。
合計特殊出生率とは、
15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの
で、1人の女性が生涯に産む子供の平均数を表します。
合計特殊出生率は厚生労働省が発表している数字ですが、
2024年4月19日発表の「2018〜22年の市区町村別の人口動態統計」
調査によると、
聖籠町の合計特殊出生率は「1.69」と新潟県内でトップでした。
全国平均が1.33ですので、これはかなり高い数字と言えます。
ちなみに新潟県内で聖籠町に続いて合計特殊出生数が高い自治体は
「小千谷市」の1.46
続いて「佐渡市」と「刈羽村」の1.45でした。
新潟県内で一番合計特殊出生率の低い自治体は「田上町」の
1.14で、全国平均を下回っています。

田上町は「街の住みここちランキング新潟県版」で第3位に
ランクインしています。
聖籠町で合計特殊出生率が高い理由
聖籠町の合計特殊出生率が高い理由はまず、
若い世代が住みやすい環境づくりを地道に行ってきた
ため、若者世代が多く住んでいることが考えられます。
子育て世帯や若者、移住者が住宅を取得しやすいよう
毎年「暮らし応援事業」で補助金を出しています。

また実際に子育て世代が子どもを育てやすいよう
さまざまな子育て支援策も行われています。
●児童手当
●子ども医療費助成
●給食費支援金
●保育料の大幅負担軽減
などなど、他の自治体に住む方からは
「うらやましい」の声も・・・
出生数から見る「普通出生率」では?
聖籠町の出生数は、2023年は109人でした。
(総務省住民基本台帳に基づく。外国人は含まない)
2023年の全国平均では、出生率(普通出生率)は人口1000人
当たり5.98人なのに対し、
聖籠町はそれより1.91人多い数字となっています。
普通出生率とは人口総数を出生数で割ったもので、
人口1000人に対し%=パーミルで表します。
よって普通出生率が高いということはそれだけ
人口の若年層が多いということになります。
2024年の出生数は全国で70万人割れ
2024年に生まれた子どもの数=出生数は、
1899年の統計調査開始以来初めて70万人を割り込み
過去最低となりました。
合計特殊出生率は1.15で、これも過去最低の数字です。
政府の推計よりも15年早く少子化が加速しています。
新潟県内の出生数は1万人割れ
2024年の新潟県の出生数は1万人を割り込む
衝撃的な数字が出ています。(正確には9941人)
14年連続で過去最少を記録し続け、
合計特殊出生率は1.14と全国平均の1.15
を下回っています。
加速する少子化を食い止めるには
少子高齢化が進むと労働人口が減り、
国の経済力や社会の活力に大きな影響を与える
ため、国益問題と言っても言い過ぎではありません。
少子化は政府の試算よりもはるかに速く進んでおり、
深刻化しています。
少子化を食い止めるには若者世代の結婚や恋愛が
関わってきますが、問題はそれだけではなく
様々な方面から社会全体を変えていく必要があることでしょう。
自治体の子育て支援策だけでは限界?
聖籠町をはじめ、新潟県内で日本全国で
子育て支援策を充実させている自治体が多くあります。
人口が増えている自治体もありますが、
これだけ少子化が加速していると、人口増というよりは
人口の奪い合いといった方がいいような状況が生まれています。
どこも似たような子育て支援策が揃い、
予算やマンパワーが限られる一自治体の力だけでは
もはや限界・・・を迎えつつあります。
新潟東港工業地帯の発展は魅力
聖籠町は農業や漁業も行われており、
特に農業ではさくらんぼやブドウなどの果樹栽培が盛ん
ですが、一方では後継者問題などもはらんでいます。
聖籠町は新潟東港工業地帯を有しています。
本州日本海でコンテナ取扱量日本一という
大規模工業地帯が生み出す雇用や経済力は絶大で、
その恩恵を受けられるのはありがたいことです。

新潟東港工業地帯の日本海LNGタンク。
今後新潟東港の果たす役割がさらに重要になれば、
より発展する可能性大です。
ちなみに観光や農業がメインの産業という某県では、
新潟東港のような大工業地帯がないため
大きく雇用を創出する場が少ないそうです。
若い人の働き口が少なく、人口流出を生んでいます。
本当に東京一極集中でいいの?
若い人が進学や就職を機に東京など首都圏へ
引っ越していく傾向が全国的に見られます。
東京へ行けば確かに何でもそろっています。
大きな有名大学や地方にはない都会的な仕事、
華やかな盛り場など地方にはない魅力が
たくさんの若者を引き付けています。
また国の機能の大半は首都圏に集中しています。
このため人材やお金が首都圏に集まりやすいのも
事実です。
しかし地方には地方の良さがあると思います。
地域(聖籠町)の特性を生かした魅力を発信し、
若い人を中心にいろいろな世代にうまくアピール
できるといいと思います。
まとめ
聖籠町の出生率は
●合計特殊出生率
●普通出生率
の2つの出生率を見ても全国平均より高い数字が
現われています。
これは町が行う充実した子育て支援策はもちろん、
交通アクセスの良さや新潟東港の豊富な雇用など
いろいろな要因が重なっているためと考えます。
社会情勢はめまぐるしく変動しますが、
聖籠町自体がさらに発展すれば、
より多くの若い世代を引き込むことに成功しそうな
気がします。