食べ物をのどに詰まらせてしまう子どもの窒息事故は、
0歳児が一番多いことをご存じでしょうか?
どんな食べ物がのどに詰まりやすく、またのどに詰まった時どうすればいいのか、
対策を調べました。
子どもの窒息事故の9割は5歳以下
食べ物による子どもの窒息事故については、
日本小児科学会のHP内に詳しくわかりやすい説明が掲載されていますので、
ぜひ参考になさってみてください。
食品による窒息事故は高齢者でも見られますが、特に0歳児を中心とした
「低年齢児」で多く発生しています。
消費者庁のHPによると、
厚生労働省の人口動態調査によると、平成26年から令和元年までの6年間に、
食品を誤嚥して窒息したことにより、14歳以下の子どもが80名死亡していました。
そのうち5歳以下が73名で9割を占めていました。
消費者庁HP >> 食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意
また日本小児科学会HPでは、乳幼児の窒息事故は子ども側と食品側の両方に起こる原因が
あるとして、
「安全な食べ方・食べさせ方を理解、実践することが大切」としています。
この記事は、「公益社団法人 日本小児科学会」HPの
を参考にし、一部引用しています。
食べ物による窒息事故が起きる原因
小さい子供が食べ物をのどに詰まらせる原因として主に、
噛む力、飲み込む力が弱い。
食べるときの行動
窒息を起こしやすい食べ物
が挙げられます。
乳幼児は噛む力や飲み込む力が弱い
0歳児と一口に言っても、
・生後5~6か月の離乳初期
・生後7~8か月の離乳中期
・生後9~11か月の離乳後期
・生後12か月~18か月の離乳完了期
と月齢によって離乳食が異なるのはご存じの通りです。
生後5~6か月 | 離乳初期は飲み込むだけで、歯はまだ生えていない赤ちゃんも
多いことから、歯や歯茎で噛んだりつぶしたりする力はまだありません。 |
生後7~8か月 | 離乳中期は、舌でつぶせる硬さのものが食べられるように。 |
生後9~11か月 | 離乳後期は歯がいくつか生えてくる赤ちゃんも多く、
歯茎でつぶせる硬さのものが食べられるように。 |
生後12~18か月 | 前歯まで生えそろっていれば、噛み切って歯茎でつぶせる硬さ
のものが食べられるように。 |
生後18か月以降 | 奥歯も生えてきて、食べ物をすりつぶした食べることも
できるようになる頃。 |
離乳食の固さや月齢はあくまで目安で、当然個人差もあります。
市販の離乳食やお菓子には月齢の目安の記載はありますが、こちらもあくまで目安なので、
赤ちゃんの歯の状態などにより、食べられたりまだ食べられなかったりとまちまちです。
乳歯が生えそろっても油断は禁物
乳歯が生えそろうのは大体3~4歳ころとされていますが、
大人と比べるとまだ噛む力は弱いままです。
食べ物をうまく噛みきれなかったりすりつぶせなかったりすると、
子どもは丸飲みしてしまいます。
この丸飲みが、食べ物によっては窒息事故につながることがあります。
なお大人は異物がのどに入り込みそうになると、咳をして吐き出すことができますが、
小さい子供は咳をする力も弱いため、気道に入った食べ物を吐き出すことができず、
これも窒息事故につながる要因になります。
食事の仕方や食事の時の行動
乳幼児は食事に集中せず、走り回ったり遊びながら食べてしまうことがあります。
また正しい食べ方をまだ知らないため、口いっぱいに食べ物をほおばってしまったり、
粒状の食べ物を何個も口に入れてしまったりなど、到底飲み込めないような
無理な食べ方をしてしまうことも。
食事の時は保護者が正しい食べ方を教えてあげることが大切です。
例えば、
一度にたくさん食べ物を口に入れない。
よく噛んで食べる。
食事に集中する。
口の中に食べ物があるときはおしゃべりしない。
走りながら寝ながら、遊びながらの食事はNG。
食事の際は飲み水を傍らに置き、時々飲ませる。
食べさせる側の注意点
保護者が小さい子供に食事をさせる際、気を付けたいことがあります。
食べ物を小さく、食べやすい大きさに切って食べさせる。
一口ずつ飲み込んだことを確認しながら食べさせる。
時々水を飲ませてのどを潤す。
一人で食事をさせない。必ず大人がそばについて食べさせる。
また食事中に泣いたり笑ったり、何かにびっくりしたりすると
その拍子に食べ物をのどに詰まらせてしまうこともあるため、
落ち着いて食事をさせてあげましょう。
兄や姉と同じ食べ物を欲しがったら
きょうだいがいると、兄や姉が食べているものを欲しがったりすることがあります。
年が違うので、当然まだ食べられないものもありますよね。
きょうだいが食べているものを欲しがっても、そのまま与えない方が無難です。
カットできるものは食べやすい大きさに切ってあげたりします。
どうしても無理なものは与えず、他のものを与えてやり過ごしましょう。
乳幼児がのどに詰まらせやすい食べ物
保護者が注意深く食事をさせていても、食べ物によっては窒息を起こしかねない
ものもあります。
つるつるしたものや粘り気のあるもの、口に入れるには大きいもの、水分の少ないもの、
固いもの、弾力のあるもの、丸っこいものなどが挙げられます。
大人は何気なく食べているものでも、小さい子供にとっては食べにくい場合が
多々あります。
丸くてつるつるした食べ物
表面がつるつるしていて形が丸いものは、丸飲みするとつるっと喉に入って
気道をふさいでしまうことがあります。
ミニトマト、ぶどう、白玉だんご、さくらんぼ、ウズラの卵、ナッツ類、ソーセージ、こんにゃく、
こんにゃくゼリー、飴玉、ラムネなどなど。 |
最近では【キャンディー型チーズ】(球形チーズ)をのどに詰まらせて、
1歳の男の子が窒息を起こした死亡事故がありました。
直径数cmのキャンディー型チーズでも、乳幼児はのどに詰まらせてしまうことも
あるため、小さく切ってあげたり飲み込むのを確認しながら食べさせます。
またこんにゃくゼリーを喉に詰まらせる事故は、後を絶ちません。
丸のまま与えず、必ずキッチンはさみなどで小さくカットしてあげましょう。
粘り気のあるものやパサパサしたもの
お餅やご飯、パンは、粘り気があって窒息しやすい食べ物の代表例です。
一度にたくさん口に入れたりすると、口の中に張り付いて飲み込みにくくなります。
お餅は特に粘り気があるため、小さい子供にとっては食べにくいものです。
また注意したいのがパンです。
パンは柔らかくて食べやすいのですが反面、パサパサして水分が少なく
飲み込みにくい食べ物です。
のど通りが良くないため、喉を詰まらせてしまうこともあるため、
パンは必ず飲み物と一緒に食べさせましょう。
もちろん小さくちぎって少しずつ食べさせるのは言うまでもありません。
喉に張り付きやすいもの
上記と重なる部分もありますが、
焼きのりやおせんべい、サツマイモ、ゆで卵などは
喉に張り付きやすい食べ物です。
小さく切って食べさせるのがベストです。
固いもの、噛みきりにくいもの
前述のように小さい子供は噛みきれない食べ物は、そのまま丸飲みしてしまう
傾向があります。
りんごやにんじんなど固い食べ物は、すりつぶしたり小さく切ったり
火を通して柔らかくします。
またイカはどちらかというと、大人でも固くて噛み切りにくい食べ物の一つです。
イカ料理だけでなく、さきイカやするめなども注意が必要です。
喉に食べ物を詰まらせてしまったらどうすればいい?
喉に食べ物が詰まったときは、急にむせ始めたり顔色が悪くなったりします。
口の中に指を入れ詰まった食べ物をかき出すという方法あるようですが、
日本小児科学会では救急車を呼ぶとともに、窒息解除の方法として
「背部叩打法」(はいぶこうだほう)や「腹部突き上げ法」をおすすめしています。
背部叩打法とは?
日本小児科学会のHPによると背部叩打法は、
1歳未満の乳児では、まず救護者が膝を曲げ(もしくは椅子に座り)、
太ももの上に子どもをうつ伏せに抱きあげます。
この体勢で、子どもの背中の肩甲骨の間のあたりを手のひらで5~6回強く叩き、
詰まった食品を吐き出させます。
それでも窒息が収まらない場合は胸部突き上げ法として、
子どもを仰向けに寝かせ、心肺蘇生と同じように、左右の乳頭を結んだ線の中央で
少し足側を、指2本で押します。
をすすめています。
腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)とは?
1歳以上の子どもには、腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)をおすすめしています。
子どもの背中側から救護者の両手を回し、みぞおちの前で両手を組んで、
勢い良く両手を絞ってぎゅっと押すことで、詰まった食品を吐き出させます。
それでも窒息が収まらなかったら
背部叩打法や胸部突き上げ法、腹部突き上げ法を5~6回行っても窒息状態が続く場合は、
心肺蘇生を行います。
まとめ
大人にとっては何気ない食べ物でも、体の機能や食べ方などが発達途上の
乳幼児にとっては窒息を起こし、命取りになりかねない食べ物がたくさんあります。
喉に食べ物を詰まらせないよう、注意深く食事をさせるとともに、
万が一に備えて窒息解除の方法を知っておくことも必要ではないでしょうか。